連携研究プロジェクト

メモリーグラフを活用した災害被災地の景観の記録と記憶の継承・共有

2026.01.28

プロジェクト代表者:
西 芳実(京都大学・東南アジア地域研究研究所・准教授)

連携研究員・共同研究員:
山本 博之(京都大学・東南アジア地域研究研究所・准教授
北本 朝展(国立情報学研究所・教授
リナ・スルヤニ・オクタリ(シアクアラ大学・准教授)

プロジェクト紹介

本研究は、2004年インド洋津波被災地であるインドネシア・アチェ州の景観変化の記録画像を国立情報学研究所が開発したスマホ・カメラアプリ「メモリーグラフ」に組み込むことで、津波被災地における景観の変化を住民主体で記録し、被災から長い時間が経過し、街の景観から被災の痕跡が失われるとともに被災経験者が高齢化するなかで、災害の経験と記憶を世代と地域を越えて共有・継承するという課題に取り組みました。

「メモリーグラフ」は、スマートフォンのカメラのファインダー上に過去の風景画像を半透明で重ねることで、過去の画像と同じ構図で現在の風景を撮影して、同じ場所の変遷を見比べることができるアプリです。被災と復興による町の景観の変化を記録できるだけでなく、現在の街並みに至る歴史を共有するコミュニティづくりを助けます。

申請者は2004年インド洋大津波の発災以前から被災地アチェの歴史研究に取り組み、発災後は被災ならびに復興の過程を定期的に撮影・保管・デジタルアーカイブ化を行ってきました。これらの記録写真を参照写真とするアチェ津波被災メモリーグラフを作成してアプリ言語にインドネシア語版を加え、現地関係機関(国立公文書館、アチェ津波博物館、アチェ州立図書館、シアクアラ大学)に各機関が所蔵する景観写真を参照写真として追加するとともに、津波被災20周年イベントとしてアチェ津波メモリーグラフを活用した写真コンテストを共同実施しました。約1500点の応募があったほか、市民が所蔵する景観写真の提供が64件ありました。撮影・提供された景観写真は国立公文書館が管理され、住民が被災と復興の記録に参加する仕組みがつくられました。