未来創成学の挑戦 -人と社会と自然の共創的未来モデルの構築・検証・適用-

プロジェクト代表者:
村瀬 雅俊(京都大学基礎物理学研究所域 准教授)

連携研究員・共同研究員:
・広井 良典(京都大学人と社会の未来研究院・教授・副センター長 教授)
・西平 直(上智大学グリーフケア研究所 特任教授)
・平川 佳世(京都大学大学院文学研究科 教授)
・村瀬 智子(日本赤十字豊田看護大学 非常勤講師)
・宮川 清(東京大学大学院医学系研究科 教授)
・頼住 光子(東京大学大学院人文社会系研究科 教授)
・松木 邦裕(京都大学教育学研究科 名誉教授)
・九門 大士(亜細亜大学 教授)
・矢野 雅文(東北大学電気通信研究所 名誉教授)

プロジェクト紹介

グローバル化時代を迎え、世界は一つの巨大システムとして捉えられるようになりました。もちろん、技術革新によって、様々な産業基盤が根本的に変革してきたことは、輝かしい人類史の一頁と言えます。その一方で、従来型の物質資源中心・貨幣価値経済中心の考え方に、人類が固執し過ぎてきた結果、人口問題・食糧問題・資源問題などの既成問題を解決するどころか、逆に新たな問題を次々と生み出すに至ってしまいました。

実際、世界中が新型コロナウイルスによるパンデミックやテロや戦争、度重なる災禍、そして、イデオロギーや歴史認識の違いによる国内外における人種間対立などに翻弄され続けています。このように混沌とする世界情勢に直面し続けている今日こそ、「人」と「社会」と「自然」の共創型社会の実現に向けた提言が必要ではないでしょうか。

すべての鍵は、私たち自身の「ものの見方」にあるように思われます。私たちが、「ものの見方」を変えることで、それまで「目に見えなかった世界」が色鮮やかに輝きはじめ、語りかけはじめるようになります。豊かさの源は、目に見える物質の世界ばかりではなく、私たちが目に見えない世界を垣間見ることができる「ものの見方」を自得できるかどうかにあります。

その様子を下の図に描いてみました。私たちが客体である対象にとらわれている限り(下面)、主体と客体の対峙を免れることがありません。ところが、視点を異なる考え方(仮説)や対象に移動した途端、当初の客体による束縛から自由になり、新たな目的・目標が見えるようになります。この非連続的な変化を、右端の時間軸の移動で示しています。そして、上位の視点から、自身と客体を振り返ってみる時、それまで気づかなかった調和の可能性が現れてきます。モノの視点から、創発するコトの視点への変革、それが混沌とした現代に求められているコトではないでしょうか。