連携研究プロジェクト

Self-as-WE をもたらす神経基盤の予備検討

2026.01.28

プロジェクト代表者:
森 圭史スピノザ神経画像研究センター・博士研究員)

連携研究員・共同研究員:
出口 康夫(京都大学大学院・文学研究科・教授)
山本 洋介(京都大学大学院・医学研究科・教授

プロジェクト紹介

 例えば西洋近代の思想にはデカルトの「われ思う、ゆえに我あり」という言葉にみられるように、自己は「一人称のわたし」という価値観が存在しています。しかしサッカーをする場合にはチームや審判と一緒にサッカーを行っていたり、広い視野で見ればご飯を食べるにしても、料理をする人や皿を洗う人、ゴミを回収する人がいなければできません。このように行為主体の自己は「一人称単数のわたし」だけでなく、「一人称複数のわれわれ」ととらえられるのではないかと京都大学の出口康夫博士は提唱し、”Self-as-WE”と自己観名づけられました。出口博士らの研究チームではこの東洋的な自己観がどのようにより良い社会につながるかを哲学的・社会科学的に研究されてきたので、今回の研究では生物学的に、どのような脳の働きがSelf-as-WEの意識を生み出すのかについて、fMRIを用いて調べようと試みました。

 私たちが行う行為の中でも明らかに複数人で行うものとして演劇が挙げられます。そこで私たちはMRI装置の中で研究ボランティアの方々にいくつかのドラマ・映画の役になりきってもらい、どれくらいなりきれた(没頭できたか)についてMRI後に7段階で答えてもらいました。まだSelf-as-WEの脳活動を抽出できたと言えるほど統計的に有意な結果は得られていませんが、役になりきれる程度が強いほど、脳の前帯状皮質という領域の活動が強くなることが示唆されました。

 今後はこの「役になりきる」以外の面からもSelf-as-WEの自己観をもたらす場面を考えてfMRI研究を続け、ゆくゆくはそのような特定の場面だけではなく一般化させ、無意識化でどのようにSelf-as-WEがもたらされているかを調べようとしています。