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高木佐保 特定助教が着任しました(2025年4月1日)

2025.04.11

2025年4月1日より京都大学 人と社会の未来研究院/白眉センターの特定助教として着任いたしました高木佐保と申します。

私の専攻は比較認知科学です。比較認知科学は、ヒトとヒト以外の動物の心の働きを比較することで、心の進化を解明していく学問です。私は動物の中でも、ネコの社会的な認知能力に関心を持って研究を進めています。ヒトと伴侶動物として暮らしているネコが日々の生活からどのようなことを学習するのか、認識しているのかを調べるために、大学ではネコは飼育しておらず、対象はほぼ全て、家庭で飼育されている一般のネコになります。

ネコは今や日本で最も飼育されている伴侶動物となりましたが、その心の働きに関する研究はイヌと比較しても実は遅れています。その理由は単純で、ネコがとても警戒心の強い動物だからです。ネコは家につくといわれている通り、自分のテリトリーを出てしまうと行動が一変してしまうため、大学の実験室の実験は難しい場合が多いです。また、ご自宅に伺っての調査でさえ見知らぬ人(=実験者)への警戒心からソファや押し入れの中に籠城してしまうこともしばしばあります。そのような動物であるネコに対して、なんとか飼い主さんもネコも”楽しんで”もらえるような実験を工夫して行ってきました。その結果、ネコも飼い主さんの存在や言葉を認識できていることがわかってきました。

今後は元々は単独性のネコがどのように社会性を身に着けてきたのかを家畜化という視点から紐解いていきたいと思っています。具体的には、近縁種とのコミュニケーションの比較やネコ種内での認知能力の地域差や個体差に注目していきたいです。

人と社会の未来研究院では、様々な分野の研究者の方がおられるので今までになかった新しい共同研究もスタートできるのではないかと期待しています。特にネコはヒトにとても近い動物なので、ネコがヒトの心理状態へ及ぼす効果、それによるウェルビーイングの変化などにも興味があります。研究を通して、ネコやヒトも幸せになれるような社会を実現したいです。皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

高木佐保

個人ホームページ:https://sites.google.com/view/sahotakagi/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0?authuser=0