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  • Alethea H. Q. Koh(元特定研究員:現University of Canterbury)、中山真孝准教授、Kongmeng Liew(元内田研究室大学院生:現Lecturer; University of Canterbury)内田由紀子教授の研究が「Social Psychological Bulletin」に掲載されました

Alethea H. Q. Koh(元特定研究員:現University of Canterbury)、中山真孝准教授、Kongmeng Liew(元内田研究室大学院生:現Lecturer; University of Canterbury)内田由紀子教授の研究が「Social Psychological Bulletin」に掲載されました

2025.02.13

本研究では「カマ・ムタ(Kama Muta)」、一般的に「感動」と呼ばれる感情が、集団的脅威に接した時の人々の態度とどのように関連するかを検証しました。

カマ・ムタは困難な状況の中で、人生における優先順位を再認識させるような肯定的な感情であり、共同体との関係が急激に強まることから生まれます。自然災害などの集団的脅威にさらされた際に、カマ・ムタが個人の問題に対する考え方を変化させ、より社会的な行動を促す可能性について探りました。

気候変動による天災、パンデミックなどグローバルな脅威が増加する中で、カマ・ムタが社会で果たす役割を理解することが重要になっています。過去の研究では、カマ・ムタは向社会的な行動を促す可能性が示唆されていますが、集団的脅威の状況における機能についてはまだ十分に解明されていません。本研究では、社会に影響を与える集団的脅威がカマ・ムタの経験を高め、それによって個人の問題に対する態度を軽減し、より広範な向社会機能を促進するという考えを検証しました。

研究の結果、カマ・ムタの経験が強いほど、個人的な問題に対する否定的な評価が軽減されることが示されました。ただし、集団的脅威がカマ・ムタを高める効果は、実験的な操作では明確には確認されませんでした。しかし、集団的脅威が社会に与える影響を主観的に認識している場合に、カマ・ムタがより強く感じられる傾向があることが示唆されました。

本研究は、カマ・ムタが個人の問題への心理的な負担を軽減する上で機能することを示唆しています。また、集団的脅威が社会に与える影響の認識が、カマ・ムタの感情と相関することを示唆しています。今後の研究では、カマ・ムタが個人的な問題の評価を低下させる具体的なメカニズムや、集団的脅威がカマ・ムタの経験をどのように高めるか(または高めないか)をより詳細に調査する必要があります。本研究は、脅威が他者を助ける感情であるカマ・ムタを促進する上で果たす役割についての初期的な研究であり、今後の研究の発展に貢献することが期待されます。

本論文はオープンアクセスでどなたでもご覧になれます。

https://doi.org/10.32872/spb.13457