お知らせ

第1回こころの未来ワークショップ

2006.11.18

◆第1回 こころの未来ワークショップ「こころの探求:私たちの課題」
心理学の基本研究は、社会に広がる”こころ”の問題の理解にどう貢献するのか?
 気鋭の若手研究者による報告と議論を通してその解決策を探ります。
 
【プログラム】(敬称略)
13時〜13時10分 企画趣旨 吉川左紀子(京都大学大学院教育学研究科)
13時10分〜13時50分 進化心理学の立場から 平石界(東京大学)
13時50分〜14時30分 文化心理学の立場から 内田由紀子(甲子園大学)
14時30分〜14時50分 休憩
14時50分〜15時30分 実験心理学の立場から 鈴木敦命(イリノイ大学)
15時30分〜16時10分 臨床心理学の立場から 石原 宏 (仏教大学) 
16時10分〜16時30分 休憩
16時30分〜17時10分 指定討論
北山忍(ミシガン大学)
木原正博(京都大学大学院医学研究科)
17時10分〜17時30分 総合討論
17時30分〜 閉会
【発表要旨】
平石界
「生物学的視点から心の多様性を探る:信頼とパーソナリティを素材に」
近年、個人のゲノム情報の分析や「〜のための遺伝子」探しが進展しつつある。
しかしヒトの遺伝子数から考えて人間心理の個々の領域について、そのためだけに働く遺伝子が存在すると考えるのは困難である。本発表では、「他人を信頼するための遺伝子」が存在するのか、進化心理学および行動遺伝学の視点から検討し、限られた数の遺伝子が多様な心を産むプロセスについて一つの提案をしたい。
内田由紀子
「社会的適応と感情」
社会的適応において、感情表出や感情推論は重要な役割を果たしている。自己の主体性や対人関係の作られ方、さらにはコミュニケーションルールがそれぞれの文化や社会の中にある価値観や日常的現実のあり方と連動して構築されているならば、感情表出や推論にも文化による多様性が認められると考えられる。今回の発表においては感情表出・推論の日米比較研究を紹介したうえで、それぞれの文化における適応のあり方を検討する。さらに、共感性や対人関係の欠如が招く諸問題に対しての、文化・社会心理学的アプローチの貢献可能性について検討する。
鈴木敦命
「老衰か?熟達か?加齢と感情機能」
加齢と感情は「こころの未来」を考える上で重要なキーワードであると同時に、両者の間には面白い関係が示唆されている。加齢は不快感情の処理に干渉する一方で、快感情の処理を保持するというのである。この関係は不快感情の処理能力の老衰とも不快感情の制御能力の熟達とも解釈できる。本発表ではこうした加齢と感情をめぐる研究と議論を概観し、応用研究としてだけでなく基礎研究としての加齢研究の面白さを伝えられればと思っている。
石原 宏
「主観的体験としてのこころ」
自分自身のものでありながら思うようにならない「こころ」に悩み、苦しむ方々に、実際にお会いし、関わっていく心理臨床の実践から見たときに、最も大切となってくるのは、個の主観的体験としての「こころ」である。普遍性と客観性が重視される心理学においては排除されがちな、個の主観的体験としての「こころ」に取り組む臨床心理学の試みについて、箱庭療法を通した実践の紹介もまじえながら、発表できればと考えている。
日時・会場 平成18年11月18日(土曜日) 13時00分〜17時30分
京都大学 本部構内 文学部新館2階 新第3講義室
http://www.bun.kyoto-u.ac.jp/psy/jpn/map2/campus.htm
参加費 無料
申し込み 不要
問い合わせ先
京都大学 大学院教育学研究科 教育認知心理学講座
吉川左紀子