メンバー

舩橋 真俊

Masatoshi Funabashi

特定教授

現代の社会・経済は、世界的な緊張を生んできた資本主義と社会主義の対立を超えて、地球の有限な環境容量の中で如何に人間活動を維持・発展していくかという根本的な持続可能性の問題に突き当たっています。 経済学者の宇沢弘文は、旧来の社会資本(Social Overhead Capital)を様々な現代社会の問題と対峙しながら進化させ、「ゆたかな経済生活、すぐれた文化、人間的に魅力ある社会の安定的維持」に欠かせない、より包括的な社会的装置としての社会的共通資本(Social Common Capital) を提言しました。 経済規模の成長への信仰が様々な弊害を露呈する中、脱成長や定常経済へ移行する試みも未だ多くの幻想に包まれています。社会的共通資本を一つの核としつつ、多様な社会・経済・環境条件の変遷に応じてより一般的な形で捉え直し、学術的な研究と社会実装の両輪において次世代の生存基盤を探索する活動が急務となっています。 私はこれまで、エッセンシャルな人間活動が生物多様性や生態系機能を増進する方法論として、シネコカルチャー(Synecoculture)をはじめとする拡張生態系(Augmented Ecosystem)の科学的定式化と社会実装を行ってきました。本研究部門を通じて、世界各地の自然環境と社会・経済を持続可能な形に転換する文明装置として、拡張生態系と社会的共通資本に基づいた自然-社会共通資本(Natural-Social Common Capital)の確立と実装に取り組んでいきます。

略歴

2004年
東京大学農学部獣医学課程卒業(獣医師国家資格保持)
2006年
東京大学大学院新領域創成科学研究科複雑理工学専攻卒業(複雑理工学修士)
2010年
Centre de Recherche en Épistémologie Appliquée (CREA), École Polytechnique, France 卒業(Ph.D in physics)
2010年
ソニーコンピュータサイエンス研究所 リサーチャー(2023- トランスバウンダリーリサーチラボ リサーチディレクター)
2018年3月〜2021年3月
海洋研究開発機構 招聘主任研究員
2022年
京都大学 人と社会の未来研究院 社会的共通資本と未来寄附研究部門 特定教授

その他関連情報

AERA 2021年4/19号
「現代の肖像」舩橋真俊
An Interview with Dr. Masatoshi Funabashi
https://note.com/sccf_ifohs/n/n9cc2a56ae5a4?magazine_key=mf8bd36ed210f
SynecO, Inc.
https://www.syneco.inc/
Synecoculture Association
https://synecoculture.org/
African Center of Research and Training in Synecoculture (CARFS)
https://www.facebook.com/carfs.org/
Sony CSL Synecoculture project page
https://www.sonycsl.co.jp/sp/14835/
UniTwin UNESCO Complex Systems
Digital Campus e-laboratory webpage
(All publications of Synecoculture
project are available)
https://www.human-augmentation-of-ecosystems.net/