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第100回京都大学丸の内セミナー特別講演会で河合俊雄センター長が司会を務め、広井良典教授が講演を行いました

 2018年11月1日、京都アカデミアフォーラムin丸の内で「第100回京都大学丸の内セミナー特別講演会〔人文・社会科学の未来〕」が開催されました。「京都大学丸の内セミナー」は2010年6月から毎月1回開催されており、今回、第100回目を迎えました。
 本セミナーでは、河合俊雄センター長が司会を務め、「人文社会学系」の先生方3名による講演のうち、広井良典教授は「人口減少社会のデザイン」と題した講演を行いました。
 広井教授の講演では、日立京大ラボとの共同研究である「AIを活用した持続可能な日本の未来に向けた政策提言」の内容から始まり、人類史の中のポスト成長・人口減少社会、今後目指すべき「持続可能な福祉社会」という社会モデル、そして「グローバル定常型社会」という展望について、具体例を交えつつ幅広い視点からの議論を展開されました。 また、総合討論の時間では、河合センター長より各講演内容における今後の展望などが語られ、参加者からの疑問や質問を加えながら討論が行われました。広井教授には、AIを活用した社会構想で示された「地方分散型シナリオ」について質問があり、シミュレーションでは財政の効率性や環境・資源に関するマイナス面も出たが、人口や地域の持続可能性そして格差・健康・幸福という観点からは地方分散型が望ましいという結果が示されたという点についてディスカッションが行われました。


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 広井教授の講演「人口減少社会のデザイン」
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 画像をクリックすると、全ての資料(P75)をPDFでご覧いただけます

『ミネルヴァ通信「究」』に河合俊雄教授の連載第27回が掲載されました

 ミネルヴァ書房の発行する月刊誌『ミネルヴァ通信「究」(きわめる)』2018年11月号に河合俊雄教授の連載「こころの最前線と古層」が掲載されました。

 今回のテーマは「現代の夢と解釈」です。
 これまでの連載で、夢との関わり方の歴史的変化が説明されてきましたが、今回は、現代の夢の捉え方がテーマになっています。
 著者はまず、現代、多くの人は夢を特に重要とは思っておらず、夢は何の意味もない荒唐無稽なものとみなされているのが通常であろうと述べ、この見方の背景に、西洋の合理主義の影響を指摘します。そしてこれに対し、心理療法では、フロイトやユングが、夢が有用であり、意味を持つことを示したことを取り上げ、著者自身も、「長年心理療法において夢を扱っていると、夢がことばのやり取りによるのと全く異なる次元を開いてくれることが実感できる」と述べています。
 ただ一方で、現代の心理療法においても、古代や中世と同じように夢が扱われているわけではなく、ユングもフロイトも、「夢が直接的なものではない」という認識を共通して持っており、夢が示すものを解きほぐすために「解釈」を必要とすることが、指摘されています。
 このように夢を解釈する方法が必要となったのは、前近代では、夢の世界と直接的につながることが可能だったのに対して、近代の意識が、夢の世界から断ち切られているためだろう、と著者は考えています。この変化については、こころの現象の自明性や直接性が失われ、解釈が必要になったために心理学が誕生した、ということとの重なりも指摘されています。



(解説:粉川尚枝 特定研究員)



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こころの最前線と古層(二七)「現代の夢と解釈」河合俊雄


 これまで、夢との関わり方の歴史的変化について述べてきて、特に前回は日本の中世における夢の扱われ方について紹介した。中世において、夢は古代と同じように現実に強い影響力を及ぼすものであったけれども、夢を人々がどう受けとめ共有するかが重要になってきていた。その意味で夢は一方的に与えられるメッセージでなくなり、夢に対する覚醒時の意識の関与が強まってきていたとも言える。
 それに対して現代において夢はどのようにみなされているのであろうか。...




(論考より)


出版社のページ(こちらから『究』の講読が可能です)
https://www.minervashobo.co.jp/book/b378552.html

新潟青陵大学で開催された日本箱庭療法学会第32回大会にて粉川尚枝特定研究員が河合俊雄教授・畑中千紘特定講師らと口頭発表を行いました

 2018年10月20、21日、新潟青陵大学で開催された日本箱庭療法学会第32回大会にて、粉川尚枝特定研究員が河合俊雄教授・畑中千紘講師らと口頭発表を行いました。
 この発表は、「発達障害の子どものプレイセラピーと発達検査の比較検討」という題で、当センターの平成29年度教員提案型連携研究プロジェクトである「子どもの発達障害へのプレイセラピー」プロジェクトにより行われたものです。 発表した研究では、プレイセラピーのプロセスと発達検査の結果を比較するという、数量的な視点を含めた方法で、客観的にセラピーの有効性を検討することを試みました。
 今後もプロジェクトでは、発達上の問題で来談する子どものプレイセラピーについて、実証研究・治療機序の検討を積み重ねていくことを目指しています。 また、今回発表した研究の成果は、論文等の形で発表していきたいと考えています。
 なお、この研究成果は上廣こころ学研究部門(2012-2016年度)、上廣倫理財団寄付研究部門の成果を元にしたものです。


粉川尚枝・畑中千紘・梅村高太郎・皆本麻実・田附紘平・鈴木優佳・西珠美・山﨑基嗣・大場有希子・松岡利規・豊原響子・文山知紗・長谷雄太・水野鮎子・河合俊雄・田中康裕(2018)発達障害の子どものプレイセラピーと発達検査の比較検討(日本箱庭療法学会第32回大会. 2018.10.20-21.新潟青陵大学)


日本箱庭療法学会第32回大会ウェブサイト

新潟青陵大学で開催された日本箱庭療法学会第32回大会にて畑中千紘特定講師が河合俊雄教授らと口頭発表を行いました

 2018年10月20、21日、新潟青陵大学で開催された日本箱庭療法学会第32回大会にて畑中千紘特定講師が河合俊雄教授らと口頭発表を行いました。

 この発表は「心理療法におけるこころの変容とその波及―心理療法事例のメタ的分析からー」と題され、心理療法の中で「こころが変わる」際に起こってくる動き、抵抗などについて100事例のメタ的分析を通して分析した結果について発表を行いました。

 心理療法についての研究は情報保護等の問題からなかなか数量的に扱われることが少ないのですが本研究では抽象レベルから評定するという方法論の工夫によって臨床的な本質をわかりやすい形でとりだすことを目指しています。成果については論文等の形で今後、発表していく予定です。


畑中千紘・河合俊雄・田中康裕(2018)心理療法におけるこころの変容とその波及 -心理療法事例のメタ的分析から-(日本箱庭療法学会第32回大会.2018.10.20-21.新潟青陵大学)


日本箱庭療法学会第32回大会ウェブサイト


河合俊雄教授が日本箱庭療法学会第32回大会で『日本箱庭療法学会 学会賞』を受賞しました

 河合俊雄教授が、2018年10月20日・21日に新潟青陵大学(新潟県新潟市)で開催された日本箱庭療法学会第32回大会において、学会賞を受賞しました。

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 この賞は、当学会の諸活動における優れた業績を讃える目的で設けられた賞です。
河合教授は、当学会の事務局長、常任理事、常務理事を歴任し、特に2008年から現在まで、学会誌編集委員長という要職で、学会の発展に尽力してきました。
 また、多くの著書・訳書・論文・口頭発表等を通して、イメージを用いた心理療法の普及と深化に多大な貢献をしてきたこと、加えて、国際分析心理学会においても次期会長に選出されているなど、日本のユング心理学と、それに基づく心理療法の水準の高さを、世界に発信し続けていること等の功績が認められ、受賞となりました。

NTT研究所発 「触感コンテンツ専門誌ふるえ」10月号に内田由紀子准教授のインタビューが掲載されました

 NTTコミュニケーション科学基礎研究所が進める視覚・聴覚にとどまらない人間の五感伝送、五感コミュニケーション技術の研究開発成果をまとめた「触感コンテンツ専門誌ふるえ」2018年10月号に、内田由紀子准教授のインタビューが掲載されました。


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 インタビューのテーマは「文化と生活に根差すウェルビーイング実現のヒント」。
ウェルビーイングとは、身体的に、精神的に、社会的に良好な状態であることを指します。ただしその尺度は、文化的な背景や暮らしている環境の影響を受け、日本と外国、農村と都市などで異なります。
 内田准教授は比較文化研究の視点からウェルビーイングや幸福感の研究を行っており、インタビューで「文化によってウェルビーイングのあり方は異なるのでしょうか?」「職業や生活環境でも異なりますか?」「ウェルビーイング研究は、社会に対してどのような貢献ができるのでしょうか?」などの質問に答えています。


*画像をクリックするとインタビュー記事全文をご覧いただけます。または、こちら http://furue.ilab.ntt.co.jp/book/201810/contents1.htmlからも記事がご覧いただけます。

広井良典教授が熊本市で開かれた第6回日仏自治体交流会議において基調講演を行いました

 2018年10月10日、広井良典教授が熊本市で開かれた第6回日仏自治体交流会議において基調講演を行いました。


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 日仏自治体交流会議は、両国の地方自治の発展に寄与することを目的に行政課題や先進施策等について発表・議論するもので、2年に一度、日本とフランスで交互に開催されるものです。第1回会議は日仏交流150周年を記念して2008年にナンシー市において開催され、第6回目となる今回の熊本会議は日仏交流160周年に当たり、全6回を通して最多となる54の自治体(日本35自治体、フランス19自治体)が参加しました。
 今回の会議の全体テーマは、「成熟社会における都市の魅力と価値の向上~人口規模や経済規模の増加に頼らない持続可能なまちづくりのビジョンと手法~」で、広井教授は10月10日の開会式に続く全体会において「成熟・高齢社会の都市ビジョン」と題する基調講演を行いました。その後3つの分科会に分かれて事例発表と討論が行われ、会議最終日には今後の日仏自治体交流の発展に向けた共同宣言(熊本宣言)が発表されました。


 広井教授の基調講演「成熟・高齢社会の都市ビジョン」 
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 画像をクリックすると、全ての資料(P81)をPDFでご覧いただけます


 第6回日仏自治体交流会議の熊本開催について    第6回日仏自治体交流会議 プログラム・日程表
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河合俊雄教授が監訳を務めた『危機介入の箱庭療法 極限状況の子どもたちへのアウトリーチ』が出版されました

 河合俊雄教授が監訳をおこなった『危機介入の箱庭療法 極限状況の子どもたちへのアウトリーチ』が、2018年10月、創元社より出版されました。
 本書は、ユング派分析家であるパティスが、自身の考案した「箱庭表現法」について、その理論と実践をまとめたドイツ語版の翻訳書です。パティスは、「緊急性の危機状況に非常に適したもの」として、箱庭表現法を子どもたちに行ってきましたが、本書では、南アフリカ、中国、コロンビアでのプロジェクトが報告され、いくつもの事例が取り上げられています。翻訳書では、河合教授が監訳をつとめ、まえがきを執筆しています。




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 「箱庭表現法」(Expressive Sandarbeit)というのは、今回はじめて定訳を試みたものであり、日本の読者にはなじみがないことばかもしれない。普通の箱庭療法と根本的な考え方にはあまり違いがないものの、戦争、災害、社会的貧困などの極限状況におかれている人(子ども)に対して、危機介入的に集団で継続的に行われるものである。8人とか12人とかの集団に施行されるといっても、個々の子どもには少し訓練を受けたボランティアの見守り手がそれぞれに立ち会うという意味ではあくまで個別のもので、箱庭もやや小ぶりの砂箱と簡素化されたミニチュアを用いてなされる。本書を読めばわかるように、ボランティアでなくて専門家が立ち会えればそれもよいし、本物の大きさの砂箱があればそれに越したことはなく、かなりフレキシブルである。
 著者たちの活動については、これまで分析心理学会の様々な大会で発表されたのを聴いて、そのたびに目覚ましい成果に驚かされ、深い感銘を受けてきた。...


(「監訳者まえがき/河合俊雄」より)


○書籍データ
『危機介入の箱庭療法 極限状況の子どもたちへのアウトリーチ』
著:エヴァ・パティス・ゾーヤ
監訳:河合俊雄
訳:小木曽由佳
出版社:創元社(2018年10月)
単行本: 292ページ
ISBN-13: 978-4-422-11690-7
出版社の書籍ページ https://www.sogensha.co.jp/productlist/detail?id=3925


出版社の書籍ページでは、著者による序文、訳者解題を こちら から読むことができます。是非ご覧ください。

吉川左紀子教授が『京都府あけぼの賞』を受賞しました

 吉川左紀子教授が『京都府あけぼの賞』を受賞しました。

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『京都府あけぼの賞』は、女性の一層の能力発揮に資するため、様々な分野での先駆的な活躍で特に功績の著しい女性やグループに贈られます。

 吉川教授は、京都大学こころの未来研究センターの初代センター長(2007-2017)として異分野の研究者が集まり成果を社会に発信する活動を推進したことで受賞されました。なお、2018年10月20日に京都市の京都テルサで授賞式が行われる予定です。


 2018年10月15日(月)の京都新聞朝刊に受賞が紹介されました。京都新聞社より転載許可をいただきましたので、記事を当ページに掲載いたします。画像をクリックすると、より大きくPDFページが開きます。
 また、京都新聞社のウェブページ(こちら)からも記事をご覧いただけます。


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2018年10月15日 京都新聞掲載

広井良典教授のエッセイが京都新聞夕刊(10月4日付)の「現代のことば」欄に掲載されました

 広井良典教授のエッセイが京都新聞夕刊(10月4日付)の「現代のことば」欄に掲載されました。

 タイトルは「風土と宗教」で、地球上の各地でまったく異なる信仰や"神様〝のかたちが存在することを踏まえながら、そうした多様性がなぜ生じるのかという問いについて、それを風土との関係から考察しています。具体的には、中央アジアに住む遊牧民族であったアーリア人が、インドのガンジス河流域の森林地帯に移住する中で仏教の源流をなすウパニシャッドの哲学(自己と宇宙の一体化)を発展させる一方、乾燥した高原地帯であるイランに移住したアーリア人は、善悪二元論や最後の審判、復活等の内容を含むゾロアスター教(ユダヤ教に影響を及ぼしたとされる)を展開していったという事例にそくしながら、風土と宗教との関係、そしてグローバル化時代の展望を論じる内容となっています。



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現代のことば 「風土と宗教」

広井良典 京都大学こころの未来研究センター教授


 地球上には実に様々な宗教あるいは信仰の形が存在する。同じ人間でありながら、まったく異なる〝神様″を信じているわけである。では、そうした宗教の多様性はそもそもなぜ生まれるのだろうか。言い換えれば、「神のかたち」を決めるものは何なのだろうか。これがわかれば、異なる神様を信じる者どうしが互いに争うという、現在の世界で多く生じている対立も多少は緩和されるであろう。
 議論を急ぐことになるが、それは究極的には「風土」であると思われる。やや単純化した例を挙げると・・・・



(2018年10月4日京都新聞 記事より)